2014/04/05

「この俺がイエス様と一緒に歌うんだぜ。これ以上のことをいったい誰が何を望むっていうんだよ」ジョン・ライドン、ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」にヘロデ王役で出演

PIL @ Atlantico Live, Roma - 27 ottobre 2013, a photo by GoldSoundzIt on Flickr.

2010年以降、毎年春になるとライヴツアーを開始している PiL が、なぜか今年は何の音沙汰もありません。ジョン・ライドン、せっかく調子出てきたのに今年はお休み?と思っていたところ、昨日、驚きのニュースが発表されました。

ジョン・ライドンがミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」にヘロデ王役で出演。6月9日から北米54都市をツアーします。

ファンとして2009年に復活してからのはジョンの活躍ぶりを見て、そろそろ映画やドラマから出演の声がかかるんじゃないかなって思っていたんですが、まさかの舞台ミュージカル、あろうことか「ジーザス・クライスト・スーパースター」、これはまったく予想してませんでした。

この俺がイエス様と一緒に歌うんだぜ。これ以上のことをいったい誰が何を望むっていうんだよ

さて、このミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」、舞台や映画の DVD が発売されていて、国内では劇団四季の演目にもなってるので観たことある人も多いかと思います。一方で「キリスト教礼賛ミュージカルでしょ?何でそんなのにジョン・ライドンが出演?興味ないね。」という人が結構いるかもしれません。別にキリスト教やミュージカルに詳しいわけじゃありませんが、そんな人たちのためにオラの生半可な知識で簡単にご紹介しておきます。

まずこのミュージカル、最初からミュージカルだったわけではありません。最初はレコードだったんです。アンドリュー・ロイド・ウェバーというイギリス人の作曲家が曲を作り、ロック・ミュージシャン達を雇い、キリストが処刑されるまでの7日間の話を元に演劇仕立てのレコードを作ったんです。このレコードが大ヒットしたためその後で舞台化が実現しました。ミュージカルの初演は1971年ですが、40年以上を経た今もウェバーが立ち上げた劇団 The Really Useful Group を中心に世界中で上演が続いている作品です。

で、中身はですね、イスカリオテのユダとキリストのお話です。

時代は現代なのか大昔なのかよくわからないようになっています。とにかくユダヤ人の国イスラエルがあります。形式的にイスラエルは独立した国でヘロデ王というのが統治してるんですけど、実質的にはローマ帝国の支配下にあります。民衆たちは貧困や圧政に苦しんでいます。

そこに「神の子」を名乗るひとりの青年キリストが現われ、病気の人を治したり、パンのかけらを籠いっぱいに増やしたりの奇跡をおこなったため「彼こそユダヤの王だ」と大評判となり、彼を慕う人々が大勢集ってきます。一方、権力者たちはキリストに集まる人々の動きを警戒します。これ以上騒ぎが大きくなってはローマから反乱の動きと捉えられかねないからです。ローマと戦争になったのではイスラエルはひとたまりもありません。

その気配をいち早く察知し、キリストやその支持者たちに危害が及びかねないと心配した友人のユダは、キリストに警告します。「もう神の子を名乗るのはよせ。普通に大工として生きればいいじゃないか」。しかしキリストはユダの言葉に耳を貸そうとしません。キリストは自信たっぷりで、娼婦マグダラのマリアに膝枕でナデナデされて喜んだりしています。ユダは思い悩んだ末、キリストや人々を守るため、権力者たちによるキリストの逮捕に手を貸します。

キリストは逮捕されたといっても別に盗みや殺人を犯したわけではありません。「神の子」を名乗ってるだけです。普通なら「おかしなことを言って人々を惑わせるな」でムチ打ちとかで済むはずだったのですが、権力者間の責任の押し付け合い、責任転嫁のせいであれよあれよという間に十字架にはりつけられることに。そして思い余ったユダは...。

何だかいつの時代も世界中のどこでも変わんないねえ、というお話です。ユダとキリストの間に同性愛的な雰囲気が漂い、見方によってはマグダラのマリアを加えての三角関係のお話とも取れます。

今でこそ「ジーザス・クライスト・スーパースター」はミュージカルの名作としての評価を確立していますが、発表当時は「神への冒涜だ!」と大変なバッシングを受けた作品です。だから「俺はアンチ・キリストだ」「教会は犬(Dog)をさかさまにしただけの God に祈りを捧げる場所」と歌ったジョン・ライドンを選んだのも、当然といえば当然の成り行きです。

今回、我らがジョン・ライドンが演ずるのは傀儡(かいらい)のユダヤ王、ヘロデです。出番は少ないのですが、このミュージカル一番の憎まれ役です。ビデオは2000年の映画版、リック・メイオールのヘロデ王ですが、これをジョン・ライドンが演じるとどんなことになるのか、すごく楽しみ。

(2014-06-07追記)このミュージカルは残念なことに中止になってしまいました。
神様ってのはそういう者を愛するんだろ? - ジョン・ライドン出演のジーザス・クライスト・スーパースター、全公演中止

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